ボットの作成チュートリアル

このページは、Classics, Inc.のBot Builder管理者であるアケーラ・ウルフが新しいボットを作成する過程を追ったチュートリアルです。 このチュートリアルの目的は以下のとおりです。

  • Bot Builderのユーザーインターフェイスに慣れる。
  • インテント、エンティティ、ストーリー、ルールなど、Bot Builderボットに含まれる主な設定と、それらがどのように連携するかを理解する。
  • Bot Builderボットの作成と作業のワークフローを理解する。

このチュートリアルを始める前に、Bot Builderの入門に関するヘルプページを通読してください。 会話型AIに不可欠なコンセプトを紹介しており、それらをBot Builderの設定に関連付けることができます。

必要に応じて、アケーラと一緒に作業を進めることもできます。 各タスクを実行するために必要なステップは、以下の各セクションのドロップダウンに含まれています。

チュートリアルのスコープ

このチュートリアルでは、完全な動作をするボットは作成しません。 ここでは1つのユースケースを作成して管理するプロセスをガイドします。 多くのボットは複数のユースケースを扱います。

このチュートリアルでは、Bot Builderボットに直接関係するステップのみを取り上げます。 デジタルチャネル閉じた コンタクトがエージェントやボットとやり取りする方法。 チャネルには、音声、Eメール、チャット、ソーシャルメディアなどが含まれます。CXoneルーティングキュー閉じた システムはルーティングキューを使用して、どのエージェントにケースをルーティングするかを決定します。 システム管理者は、特定のケースがそのタイプに精通したエージェントにルーティングされるように、ルーティングキューを作成します。をセットアップして設定するステップについては扱いません。 ボットが本稼働環境で機能するには、これらが必要になります。 ボットを作成する準備ができたら、実装プロセスに従ってください。このプロセスでは、ボットのセットアップと管理に必要なすべての手順を説明しています。

準備

アケーラは新しいボットを作成するタスクを依頼されました。 マネージャーは、パスワードの変更やアカウント詳細の更新方法など、基本的なカスタマーサービスに関する質問に答えるボットを必要としています。 そこでアケーラはマネージャーと協力して、ボットの出発点として次のようなユースケースを特定します。

  • パスワードを変更
  • アドレスを変更
  • 電話番号を変更
  • 請求クレジットカードを変更

アケーラは、最初に取り組むユースケースとしてパスワードの変更を選びます。 彼女は組織内のヘルプデスクエージェントと話をし、インタラクション閉じた チャネルを介したエージェントとの会話全体。 たとえば、インタラクションには、音声通話、Eメール、チャット、またはソーシャルメディアでの会話があります。のレコーディングとトランスクリプトをレビューします。 この情報に基づいて、彼女はパスワードリセットの典型的なインタラクションのファイルを作成します。

アケーラはBot Builderで作業した経験があるので、自分のCXone従業員プロファイルにBot Builder:Bot Builder  > 起動Bot Builder へのアクセスに必要な権限があることを知っています。

新しいボットを作成する

アケーラはCXoneにログインし、ボット用の新しい従業員プロファイルを作成します。 プロファイルが必要なのは、CXoneBot Builderのボットをユーザーエンティティとして処理するからです。 すべてのユーザーエンティティには、プラットフォームで従業員プロファイルが必要となります。

ボットの従業員プロファイルを作成した後、アケーラはBot Builderに新しいボットを作成します。 ボットにはJohn Botという、ボットの従業員プロファイルに使ったのと同じ名前を付けます。

インテントを作成

アケーラは、集めた実際のインタラクションをレビューし、パスワードリセットリクエストの典型的な成功例をまとめます。 これが、このインテントのハッピーパスとなります。 以下に彼女の例を示します。

連絡先:こんにちは。

ボット:こんにちは。どのようなご用件ですか?

連絡先:パスワードを忘れました。

ボット:それは残念です。 私たちのウェブサイトからそれをリセットすることができます。

連絡先:どうすればよいですか?

ボット:ランディングページの右上隅にある[パスワードを忘れた場合]をクリックします。 次に、Eメールアドレスを入力すると、パスワードをリセットするためのリンクがシステムから送信されます。

連絡先:ありがとう!

ボット: どういたしまして。 他に何かできることはありますか?

コンタクト:いいえ。本当に助かりました。 さようなら。

ボット:ご連絡いただきありがとうございました。 さようなら。

アケーラはハッピーパスに5つのインテントがあることを特定します:

  • Greeting (こんにちは)
  • Reset_password (パスワードを忘れました)
  • Explain (どうすればよいですか?)
  • Thanks (ありがとう本当に助かりました)
  • Goodbye (さようなら)

アケーラはこれらのインテントを作成します。

  1. アケーラはBot BuilderでNLUセクションの[インテント]タブに移動します。
  2. Conversation_defaults」というフォルダーを作成します。
  3. そのフォルダーに、「greetings」というインテントを作成します。
  4. アケーラは収集したインタラクションの例を調べ、コンタクトが使用したさまざまなグリーティングをすべてgreetingsインテントの例として追加します。 こんにちはどうもこんちはやあなどをすべて追加します。
  5. 次の2つのインテントとして、「thanks」と「goodbyes」を追加します。 それぞれの例として、thanksインテントにありがとうどうもありがとうありがとうございますなどを追加します。 goodbyeインテントには、さよならではまたわかりました。ではまたなどを追加します。
  6. 次に、アケーラは「password_reset」というフォルダーを作成します。
  7. Reset_password」と「explain」というインテントを追加し、それぞれにインタラクションの実例からの例を追加します。
    • Reset_passwordについては、パスワードを変更する必要がありますパスワードが間違っていますパスワードを更新する必要がありますパスワードを変更するにはどうすればよいですかなどの例を追加します。
    • explainについては、どうしたら良いですかそのオプションが見つかりませんそれはどこにあるのかなどの例を追加します。
  8. アケーラは、自分が集めたインタラクションの例で見つかった例をインテントに追加し続けます。 すべてのインテントにはある程度の数の例があります。 彼女は、例の数が多いほどボットの学習に役立つことを知っています。 しかし、自分で例を作成するのは推奨されないこともわかっています。 現時点ではこれ以上追加できる例はありませんが、ボットの作成作業を続けながら随時追加することができます。

ルール作成

アケーラは、自分が作成したいくつかのインテントをボットに教えるには、ルールを使うのが適していると判断します。 ルールは、インテントが認識されるたびに、インテントに対して同じ応答を返すようにボットに教えます。 これは彼女がルールを使いたいと考えているグリーティング、さようなら、ありがとうなどのユースケースに最適です。

アケーラは次のことを行います。

  1. Bot Builderの[ダイアログ]セクションの[ルール]タブに、「Conversation_defaults」というフォルダーを作成します。
  2. この新しいフォルダー内に、「Greeting」というルールを追加します。
  3. グリーティングルールをトリガーするためのコンタクトメッセージの例角が丸い正方形に入った顔。として、「Hello」を使用します。 Enterを押すと、ボットはgreetingsインテントを正しく予測します。アケーラはこの方法で結果を確認できます。
  4. 次に、アケーラはボットの応答角が丸い正方形に入ったロボットの頭部。を追加します。 ボットに独自の挨拶で応答させたいので、Messageボットアクションを追加し、「こんにちは、本日はどのようなご用件ですか?」と入力します。 これはボットにコンタクトに送信させたいメッセージです。
  5. 最後にアケーラは、コンタクトが頻繁にボットを使用した場合、いつも同じ応答であることに気づく可能性があると判断します。 そこで人間との会話により近い体験を提供するため、ボットの応答にバリエーション2つの交差する矢印で表されるアイコンを加えることにします。 ボットはいずれかのメッセージをランダムに選んで使用します。 最初のメッセージに加えて、ボットは「こんにちは、ご連絡ありがとうございます。 どのようなご用件ですか? 」や、「こんにちは、本日のご用件は?」などと応答できるようになります。
  6. アケーラは同じプロセスを繰り返してさようならルールを作成します。 トリガーとなるコンタクトメッセージ角が丸い正方形に入った顔。としてByeを使用します。
  7. ボットはgoodbyeインテントを正しく予測し、アケーラは結果を確認します。
  8. 次に、アケーラはボットの応答を追加します。 「さようなら!」を Messageアクションとして追加し、「ご連絡ありがとうございました。」と「本日はお問い合わせいただきありがとうございました。 」をバリエーション2つの交差する矢印で表されるアイコンとして指定します。
  9. アキーラが最後に追加するルールは、ありがとうです。 このルールには、トリガーとなるコンタクトメッセージ角が丸い正方形に入った顔。として「ありがとう」を使用します。 ボットが正しいインテントを予測し、アケーラは結果を確認します。
  10. その後、アケーラはボットの応答を追加します。 「どういたしまして。 」をMessageアクションとして追加し、「お役に立てて嬉しく思います。」と「どういたしまして。それが私の役目ですから。 」をバリエーション2つの交差する矢印で表されるアイコンとして指定します。

ストーリーを作成

次に、アケーラは残りの2つのインテント、Reset_passwordとExplainのストーリーを作成します。 パスワードを忘れたコンタクトについては、計画済みのハッピーパースストーリーを参照します。 検討した結果、アケーラはExplainインテントをReset_passwordインテントと組み合わせることに決定します。 これにより、会話を短くして顧客エクスペリエンスを向上させることができます。

Bot Builderで、ストーリーを作成します。

  1. まず、[NLU] > [インテント]タブでExplainインテントを非表示斜めの線が入った目のアイコン。にします。 これでボットから除外されます。 現時点では残しておきますが、Reset_passwordインテントにインテントの例を追加したくはありません。 彼女は、パスワードに関するリクエストへの応答として情報を提供することで、「どうすればいいのですか」という質問をするコンタクトがいなくなることを望んでいます。
  2. [ダイアログ]セクションの[ストーリー]タブで、アケーラは「Password」というフォルダーを作成します。
  3. この新しいフォルダーに、「Reset_password」ストーリーを作成します。
  4. まずは「パスワードを変更したい」というコンタクトメッセージからストーリーを始めます。
  5. そして、次の2つの部分で構成されるボットの応答を追加します。
    • 最初は「それは困りましたね。 お手伝いします! 弊社のWebサイトからリセットできます:」というテキストのMessageアクションです。
    • 2つ目はRich Linkアクションで、パスワードのリセットに関するJungle Webサイトのページへのリンクを追加します:www.jungle.com/passwordreset。 Jungleのロゴの画像を含め、リンクとともにメッセージに表示されるようにします。

アケーラが作成するストーリーには、Reset_passwordインテントのコンテクストに関連する会話の一部のみが含まれます。 これが重要なのは、ストーリーにそのインテントに関連する以上のコンテンツを追加すると、ボットを混乱させる可能性があるからです。

ボットのトレーニングとテスト

最初のユースケースのインテント、ルール、ストーリーをそれぞれ作成した後、アケーラは[トレーニングとステージング]をクリックします。 すると、これらの設定を含む新しいボットモデルが作成されます。 しかし、これはトレーニングの最初のステップに過ぎません。 パスワードリセットのユースケースのルールとストーリーを追加し終えたら、ユースケースのインテントを予測して対応するボットの能力をテストする必要があります。

そのために、彼女はBot Builderでテストとトレーニングを開始します。

  1. まず最初にアケーラは、[トレーニングとステージング]をクリックし、自分の行ったすべての変更にボットが対応していることを確認します。
  2. トレーニングの進行中、アケーラはパスワードリセットのユースケースに関する実際の会話例を見つけます。
  3. [トレーニングとステージング]ボタンの隣にある[ボットに話しかける]会話の吹き出しで表現したアイコンをクリックします。
  4. アケーラは会話例を1つ選び、コンタクトの役割を演じます。 台本のように例に従い、「こんにちは」と会話を始めます。
  5. ボットは完璧に動作します。 アケーラはチャットウィンドウの[リセット]をクリックし、次の会話例を開始します。
  6. この会話は前のようにうまくいきません。 ボットはReset_passwordインテントを正しく予測しますが、URLで応答した後、コンタクトが次のように返信しました:「なんだ簡単ですね。 自分でもわかったはずなのに。
  7. アケーラは後で対処できるように、認識できなかったメッセージをメモします。
  8. 彼女はテストを続けます。 ボットがURLメッセージを送信した後、他の2人のコンタクトが予期せぬメッセージで応答したことがわかりました:
    • 1つは「な~んだ! そりゃ当然だ!」 そしてもう1つは、「なんでわからなかったんだろ。 どうもありがとう」。
    • 2番目のレスポンスに「ありがとう」という単語が含まれているため、ボットはThanksインテントを予測しました。 しかしアケーラは、それがなければボットが適切に反応できなかったことを知っています。
  9. 別の会話例をテストしたところ、ボットは「アカウントからロックアウトされた」の正しいインテントを予測できません。 アケーラはこの例をReset_passwordインテントに追加します。
  10. チャットウィンドウをリセットし、会話例を繰り返します。 すると、今度はボットがそのインテントを正しく予測します。
  11. アケーラは、「アカウントからロックアウトされた」がReset_passwordインテントをトリガーしたにもかかわらず、ボットの「困りましたね。 それなら弊社のWebサイトでできます。 」という応答は適切ではないことに気づきます。
  12. そこでこのインテントへのボットの応答を調整するために、次の2つのタスクが必要となります:
    • 想定外のメッセージに対するフォールバックを作成する。
    • 簡単に解決できたという安堵の気持ちを述べるコンタクトのためのインテントを作成する。

フォールバックを作成

アケーラはテストを通じて、コンタクトが予想外のことを言うと、ボットがどう反応していいかわからないことに気づきました。 そこでこの状況に対処するため、フォールバックを作成することに決めます。 フォールバックには、アクション、NLU、リッチメッセージの3種類があります。 アケーラは、今回のケースではNLUフォールバックが必要だと判断します。

  1. [ダイアログ] > [フォールバック]タブで、ページ左側のリストから[NLU]をクリックします。
  2. 基本とアドバンストのオプションから、[アドバンスト]を選びます。
  3. [アドバンスト]ページで、ステップ1のデフォルトのボットメッセージは変更しないことにします。
  4. ステップ2で、以下の画像に示すように、Messageアクションの後にHandoverアクションを追加します。

インテント、ルール、ストーリーを調整する

アケーラは、もう1つのテスト中に見つかった問題にも取り組み、解決策が簡単だったというコンタクトの安堵の表現に対処します。

  1. アケーラは[NLU] > [インテント]タブに移動し、Conversation_defaultsフォルダーにreliefインテントを作成します。 彼女が作成するインテントは一般的なもので、特定の状況とは関係ありません。 したがって、コンタクトが安堵の表現をした場合、ボットはいつでも応えることができます。
  2. 彼女はすでに見つけたそりゃそうだなんでわからなかったんだろうなんて簡単ななどの例を追加します。
  3. 次に、1つの例をコンタクトメッセージとして使ってストーリーを作成します。 彼女はボットに、「お役に立てて光栄です。 他に何かお手伝いできることはありますか?」というMessageアクションで対応させます。

テストを繰り返す

最初のテストで見つかった問題を修正した後、アケーラはテストを繰り返します。 問題がそれ以上見つからなくなった時点で、ボットを本稼働させることにします。

展開とオンライン化

アケーラの新しいボットは、デジタルライブチャット閉じた エージェントとコンタクトがリアルタイムでやり取りすることチャネルを使用します。 このチャネルは、彼女の組織のテスト環境でテストされているので、彼女はそれが機能することを知っています。 ボットを展開する前に、彼女は本稼働環境でチャネルをセットアップし、新しいチャットウィンドウが配置されるWebサイト用の更新されたページが展開可能であることを確認します。

次に、アケーラは自分のボットをCXone Bot Builderの本稼働環境に展開し、環境設定に移動して[オンライン]に切り替えます。 そして、Webサイトの担当チームに、新しいバージョンでページを更新するように通知します。

会話データをレビューする

ボットが稼動して数日後、アケーラはCXone Bot Builderの[インサイト] > [会話]タブで会話データをレビューします。 すると、多くのユーザーは謝辞と別れの挨拶を同じメッセージの中で組み合わせていることがすぐに明らかになります。 彼女は、ボットがこれらのインテントに一緒に応答できるようにマルチインテントを作成すると、会話の流れが良くなると判断しました。 マルチインテントは、コンタクトが1つのメッセージの中で2つのインテントを持つ場合に対処します。 彼女は次の作業を開始します。

  1. Conversation_defaultsフォルダーに、「thanks + goodbye」というインテントを作成します。 プラス記号(+)は、マルチインテントを意味します。
  2. アケーラはこれらのインテントについて、彼女が集めたインタラクションの例から抜粋して追加します。 「できました。 ではまた」、「どうもありがとう。ではまた」、I 助かりました。じゃあ」、「ありがとう。ではまた」といった例を追加します。
  3. 次に、thanks + goodbyeインテントを使うルールを作成します。 ボットの応答はMessageアクションで、「どういたしまして。 では失礼します。」というものです。